僕には、感謝してもしきれない人がいる。
あの日、「病院に行ってみよう」と背中を押して一緒についてきてくれた彼女のことだ。
今日は、僕があの日から約2年経った今だからこそ話せる当時の心境などを、
振り返りながら話をしようと思う。
あれから今でも時々ふと思うことがある。
それは、もしあの日に病院に行っていなかったら、
僕は今頃どうなっていたのだろうか?ということだ。
タイトルにもある通り、僕は20代前半の若さでがんを経験した。
正直僕よりも若い年でがんになった人やがんではない重い病気にもかかっている人も
いると思うので、「こんな人もいるんだ」程度に見てほしい。
病名は右精巣腫瘍、いわゆる精巣がんだ。
幸いなことに、僕の場合はステージⅠでの早期発見で、
今のところ再発もなく定期的に通院している、いわゆる経過観察中という状況だ。
精巣がんと言えば、最近misonoさんの夫のNosukeさんが「精巣がんによる胚細胞腫瘍」のため闘病中であることがニュースで取り上げられていたかと思う。
この病気は比較的進行が早く、精巣自体は無痛性の場合が多いため、
転移先での異変があって初めて気付くケースが多いようだ。
もしあのまま放置していたら、今の日常はなかったのだと思うと戦慄する。
色々調べてみると、僕は本当に幸運だったと改めて感じる。
病気の詳細について気になる方は下記を参考にしてみてください。
精巣(睾丸)腫瘍 基礎知識:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]
まずは病院に行ったきっかけから話そう。
当時、僕には付き合って半年の彼女がいた。
大学卒業前に付き合い始め、お互い新社会人としてスタートしてから半年が経とうとしていた頃のことだ。
あの日の一週間くらい前、一緒にシャワーを浴びている時に、
彼女が僕の金玉の異変に気付いた。
「あれ?何か、片方大きいような、気のせいかな?」
そう言われてみると、たしかに僕の右側のアレは少し大きく、
触ってみると、シコリのように硬い感じがした。
これを読んでいる男性の方は、今日シャワーを浴びた時にでも確認してみてほしい。
女性の方にはまったく関係ない話かもしれないが、
パートナーがいるのであれば、さりげなく確認してみてほしい。
僕のように早期発見につながる可能性もあるのだ。
とは言っても、精巣がんの発症率は10万人に1人程度らしい。
念には念をということだ。
正直、最初のうち僕はあまり気にしておらず、放置しようと思っていた。
なぜなら、指摘されるまで違和感もなく、まったく生活に支障はなかったからだ。
あの日の前日も、いつも通り運動していたのも今でも覚えている。
ただ、場所が場所だけに、自分で調べたりしているうちに気になり始め、
少し怖くなってきたのも事実だ。
でも周りの男友達にもそんな奴は誰一人いないし、聞いたこともなかった。
野球の硬式ボールが当たったり、金的を食らっていれば話は別だが、
まったく身に覚えはない。
まずは兄弟と父親と聞いてみようと思い、Skypeをつなげた。
僕による金玉ヒヤリングが始まった。
おそらく、誰もが「コイツは何を言ってるんだ?ついに頭がおかしくなったのか?」と呆れて聞いていたと思う。
結論は出た。やはり普通は左右差はないらしい。
この時、家族全員が「まぁ水でも溜まってるのだろう」程度に思っていたことだろう。
まさか一週間後にがんの告知をされるとは知らずに。
僕はまだ迷っていた。
もともと病院に行くこと自体ほとんどないくらい健康的な身体だったということもあり、病院があまり好きではなかったのかもしれない。
あの日は偶然にも会社で有給をとっていた平日だった。
ただ、病院に行こうと思って予め休みを申請したのではなく、
いつも通りにお互い休みを合わせてどこかへ出かける予定だった。
ここで改めて言うが、彼女は看護師である。
これは後から聞いた話だが、実は彼女のほうも結構調べていたらしく、
がんという可能性もほんの僅かだが脳裏によぎっていたそうだ。
彼女は僕のような一般的な会社員のように土日休みではなく、
勤務体系もかなり不規則なので、お互いなかなか休みが合わない。
正直病院には行かずに出かけたい気持ちの方が強かったが、
彼女の押しもあり、家の近くの市立病院に寄ってから、出かけることにした。
この選択が僕の運命を変えたのだ。
続く。
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